「向精神薬処方適正化宣言」病院のブログ

広島県廿日市市にある精神科病院、友和病院院長が管理してます

なぜ薬漬けになってしまうのでしょう?

 そもそもなぜ薬漬けになってしまうのでしょうか。

 しばしば耳にする俗な話として、「医者が製薬会社と癒着して薬をたくさん出して儲けようとしている」というものがあります。

 昔々はいざ知らず、薬を出すほど儲かるなどと考えている精神科医に、私が働き始めてから出会ったことなどありません。

 私どもの病院もそうですが、特に療養病棟は一律の診療報酬の中に薬剤費も含まれているため、薬を使うほど収益が減ってしまいます。

 そういう観点からしても、薬をたくさん使うことにメリットはないのです。

 外来診療でも向精神薬を多剤投与すると減算されるようになりました。

 今の時代、たくさん薬を出して得なことはありません。

 じゃあなぜ?

 私は次のような理由から起こるのではないかと考えます。

 

#1.薬で精神症状のすべてが解決できる、治せないはずはないという思い込みがある

#2.薬を増やせば増やすほど治る確率が上がると信じている

#3.薬以外の治療法に関心がない、自信がない、時間が割けない

#4.薬を出して欲しいと頼まれると断れない

 

 薬理、薬物動態に関する知識が乏しいと、自分の経験や思い込みだけで治療してしまいます。#1,2

 精神病理、心の仕組みを知らずに治療すると、症状を薬で消すというような物理的な方法でしか治療できません。#3

 以上のことを習得していないと患者さんから過剰な薬を要求されても上手に断ることができません。#4

 

 現実は時代劇に出てくる越後屋と悪代官のような姿ではなく、むしろ目の前で苦しむ患者さんを何とかしてあげたいという善意や正義感のある医師ほど陥りやすい罠があるのだと思います。

 患者さんの訴える症状を取り除くことに熱心になり過ぎて、気がついたら薬がてんこ盛りになっていた、というのが大方じゃないでしょうか。

 これは医師の側だけの問題ではなく、患者さんの側にも当てはまることでもあります。

 薬を飲みさえすれば治ると信じていたり、薬がないと不安と感じてしまうことはありませんか?